報告
みなみいせキャリアフォーラム参加レポート
みなみいせキャリアフォーラム参加レポート
2021年2月26日に学生団体 南伊勢の扉(通称みなとび)のプロジェクトの活動として「みなみいせキャリアフォーラム」が開催され、三重県度会郡南伊勢町の町立南島中学校と町立南勢中学校の3年生、計50名に対し大学生によるキャリア授業が行われました。
この活動に参加した総合政策学科3年の香山 友紀乃さんにレポートを書き綴っていただきましたので、是非読んでみてください。
中学生へオンラインによるキャリア授業を終えて
南伊勢町では、2018年から中学生に対してキャリア授業を行なっています。この活動は、南伊勢町出身の3名の社会人が、地元・南伊勢町を盛り上げたいという思いから地域活性をテーマに活動しているNPO法人を誘致したことをきっかけに始まりました。その活動の一環として、首都圏の大学生の視点からのキャリア授業を南伊勢町の中学生に向けて実施しています。というのも、南伊勢町には大学がなく、大学生の存在が身近ではありません。そこで少し人生経験の多い先輩として、首都圏の大学生の視点から人生の選択肢はたくさんあることを伝え、中学生がキャリアについて考えるきっかけとなればと思い、このような活動をしています。みなとびは毎年メンバーを入れ替えて活動しており、私は2020年度のメンバーとして、別々の大学に通う学生4名とともに活動しました。この活動は高校の友人からの紹介で知りましたが、以前から子供の教育や地方での活動に興味があったこともあり、活動が始まって4年目のキャリア授業に参加することを決めました。みなとびの活動で私は授業の企画立案、構成を考え、授業本番では中学生との交流、私が経験したこれまでの困難の体験談を発表しました。
毎年、授業の内容はキャリア授業を実施するプロジェクトメンバーで全て決めています。プロジェクトメンバーで話し合った結果、今年度の授業のテーマは「困難」、授業の題名は「困難が僕らを強くする」に決定しました。困難をテーマにした理由は2つあります。1つ目は、キャリア授業の対象が中学3年生と進路を決める学年であり、これから様々な困難と向き合うことになると思ったからです。2つ目は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で東京への修学旅行が中止になるなど、他にも様々な制約により、困難を抱えている生徒がいるだろうと考えたからです。
約1年をかけてこのキャリア授業実施の準備をするにあたり、授業構成など全てをゼロから作り出すため、週1回のミーティングを行い、直前の時期にはほぼ毎日ミーティングを行いました。
授業実施にあたっては、大きな変更も余儀なくされました。当初、授業当日は私たち大学生が南伊勢町に訪問して対面授業を行うはずでしたが、コロナ禍においてそれが叶わず、オンラインによる授業を行うことになりました。オンライン授業においてコミュニケーションをうまくとるためには、中学生と心の距離を縮めることが必要だと考え、オンライン交流会を全部で4回実施した上でキャリア授業に臨みました。オンライン交流会を通して互いに緊張が解けたと思います。
本番の授業は、前半では双方向のコミュニケーションを大切にしたグループワークを実施し、後半では大学生たちの体験談や、困難と向き合うために大事なことをテーマに講義形式の授業を実施しました。私たちが考えた大事なことは、「困難への向き合い方はたくさんの手段があることを知ろう」ということと、「頑張る理由を持とう」の2つでした。
最終的にこの授業がどういったものとなり、課題解決に繋がったのか、授業前後にアンケートを実施したところ、授業の満足度が100%と、全ての生徒が授業に満足したと回答してくれました。アンケートの自由記入欄には、多くの感謝の言葉や前向きな意見が書かれており、また、私の体験談を聞いて心が軽くなったという意見もありました。この意見を見た時、達成感を感じるとともにとても嬉しくなりました。
キャリア授業の影響とこれからについて
南伊勢町では教育現場におけるオンラインの環境が整っていなかったのですが、この授業がきっかけで、教育委員会がオンライン環境の整備に乗り出したという話を伺いました。このプロジェクトがきっかけで、地域の教育に貢献し影響を与えることができたのであれば、嬉しく思います。
さらには、この活動に興味を持った中京テレビの方から声をかけていただき、授業の準備から本番当日まで数回にわたって取材を受けました。その様子は、2021年3月上旬に中京テレビの「キャッチ!」で放送されました。
このプロジェクトを通じて、南伊勢町に少しでも貢献することができたこと、そして自身が成長をすることができたことは、非常に貴重な経験となりました。
約1年をかけて準備をしていく中で、世の中の状況が変わり思い通りに進まず、他にもうまくいかないことが沢山ありました。ですが、長い時間をかけて自分自身と向き合う時間ができたことは、大きな糧となりました。この春からは、SDGsに関連した教育プロジェクトを新たに始めました。この活動で得た多くの気付きや学びを、今後のプロジェクトや人生に活かしていきたいと思います。
(総合政策学科3年 香山 友紀乃)