INTERVIEW

新学部のキーワードである課題解決をめぐり、総合政策学部教員や学生たちが各分野の女性リーダーたちと対談するシリーズ。今回は、総合政策学部の一期生で、さまざまな活動に精力的に取り組んでいる古賀要花さんと総合政策学部長の萱野稔人教授の対談です。なぜ総合政策学部に入学しようと思ったのか、実際の大学生活はどのようなものかを伺います。

INTERVIEW 09

小さな成功体験の積み重ねが
課題解決のための大きな力に
古賀 要花さん(総合政策学部 総合政策学科1年)

古賀 要花 さん 略歴
岡山県出身、きのくに国際高等専修学校卒業。
教育によって子どもは大きく変わるという点に魅力を感じ、中学生の頃から教育に興味を持つようになる。特にオランダの教育に興味があり、高校時代には現地視察も行った。教育に関するブックレットを制作・販売するほか、18歳選挙権に対する啓蒙活動「エレフェス実行委員会」の発起人代表をつとめ、現在も精力的に活動中。

少子高齢化やグローバル化により課題が山積している現代社会。津田塾大学では、そのような課題に取り組む女性を育成するため、「課題解決」に焦点を当てた新学部「総合政策学部」が始動しました。今回は学部長の萱野稔人教授と、学生を代表して古賀要花さんが、「総合政策学部」の現状や今後への期待について語り合いました。

課題解決に向けてリーダーシップを発揮する女性を育成したい

萱野
古賀さんが津田塾大学の総合政策学部へ入学したいと思った理由は何だったのですか?
古賀
中学生の頃から教育に興味を持っていたのですが、私の場合は教師という職業よりも、教育の仕組みを考えるような政策に強い関心をもっていました。そのため、社会や文化、歴史など、多面的に学ぶ必要があると考えていました。そんな時、朝日新聞に総合政策学部の広告を見つけ、「私にピッタリ!」と思ったんです。
萱野
研究対象として、教育行政や教育を支援する民間企業などの取り組みをイメージしているわけですね。この学部は、どういうところがピッタリだと思ったのですか?
古賀
総合政策学部には、コースとして「パブリック・ポリシー」、「エコノミック・ポリシー」、「ソーシャル・アーキテクチャ」、「ヒューマン・ディベロップメント」と4つの課題領域がありますが、その中のどれか一つではなく、横断的にどの領域も学べることが魅力でした。また、私はゼロから何かを作り上げるということが好きなので、新設というところも私にピッタリだと思いました。ほかにも、私はAO入試で合格したのですが、面接の時、先生たちが誰かを落とそうとするのではなく、どんな人かを見ようとしてくださっていることが伝わってきて、受験生との会話を楽しんでいるような雰囲気でした。それがすごく好印象で、ますますこの学部に入りたいという気持ちが強くなりました。ところで、総合政策学部はどのような経緯で誕生したのですか?
萱野
今の日本はこれまで経験したことのないような課題に直面していますよね。少子高齢化、グローバル化、働き方改革、AIによる雇用不安…。いろいろな課題がありますが、女性もその多くの当事者になります。例えば、ダイバーシティや多様な働き方の実現においてもそうですし、子育て対策も同様です。これまでこうした課題に取り組んできたのは、男性が中心でしたが、重要な当事者である女性抜きでは、本当の意味での解決策は見出せない。女性が課題解決の中心的役割を担うことで、新しい社会を切り拓く突破口となると思うんです。こうした課題を解決する側の女性を育てたいという思いがあり、この学部を作りました。これこそが1900年の創立以来、女子の高等教育の担い手として、女性の社会参画を後押ししてきた津田塾大学が果たすべき役割だと思っています。

小さな成功体験を積み重ねることが大切

古賀
課題解決力を備えた女性になるためには、何が必要ですか?
萱野
小さな成功体験を少しずつ積み重ねていくことが大切だと思います。そのため、アウトプットを重視したカリキュラムになっています。インプットだけだと成功体験を積み重ねていけないですから。
古賀
課題が多いのはそれも理由の一つなんですね!ある意味、私たちは毎週課題に取り組むことで成功体験をしているような気がします。
萱野
経験のない人にいきなり「失敗を恐れるな」と言っても、それはなかなか難しいですよね。やはり、これなら自分にもできそうだというようなことを少しずつ積み重ねていく必要があると思います。学生たちは課題に追われて大変かもしれませんが、日本の大学生でこれほど勉強しているのは珍しいと思いますよ。
古賀
電車に乗っていても、津田塾生が英単語を覚えている姿をよく見かけるので、そういう姿を見たら「津田塾って勉強してるな~」と思われそうですよね。実際、私たちは課題の中で毎週100語くらいの英単語を覚え、500~600wordsで論じる英語のレポートも書いています。これが本当に大変なのですが、大変な分だけやりがいもあります。私のクラスでは社会問題について英語で書き、プレゼンテーションをするのですが、これがすごく楽しいんです。例えば、子どもの貧困や教育格差といった問題や海のゴミ問題など、学生によって興味の対象が異なるので、いろいろな問題について学んだり、考えたりすることができます。
萱野
課題はデータ・サイエンスもありますよね。
古賀
データ系の課題もすごく多くて、最初は馴染みがなく難しかったです。
萱野
最近、世の中では「エビデンスベースト」という言葉がよく使われており、これが課題解決のためには必須になっています。この言葉の意味は、データなどの明白な事実に基づいて政策判断を行うべき、あるいは既存の政策を評価すべきという考え方です。例えば教育なら、先生の数を増やして学力が上がるかどうかを統計的に調べて数値化し、その相関関係を調べたりすることが重要になっています。

教員と学生の距離の近さも津田塾の大きな魅力の一つ

萱野
学生を見ていると、データ系の科目は苦戦しているように見えますね。
古賀
本当に大変ですけど、先生方がとても優しく熱心なので助けていただいています。遅い時間に研究室にお伺いしても、すごく丁寧に教えてくれます。
萱野
そういう面倒見のよさは、津田塾大学の特長でもあるんです。学生と教員の距離が近いんですよね。とくに総合政策学部は、一つの校舎に教室も研究室も全部入っているので、学生も気軽に研究室に行きやすい雰囲気があります。大規模な私立大学の場合、一度も教員の研究室に行ったことがないという学生も少なくないと思います。
古賀
津田塾では、そんなことは考えられないですよ!
萱野
だから、自分たちの環境が当然だと思っていたら実は大きく異なるんです。特に、総合政策学部は社会的な活動に活発に取り組んでいる教員が多いので、その経験や人とのつながりなどを学生に還元してくれるケースが多く、その意味でも大変学びの環境に恵まれていると思いますね。
古賀
確かにいろいろな経験を積むチャンスをいただける学部だと思いました。特に夏休みに学生たちが行った活動について発表しあったときは楽しかったですね。留学、インターンなど、いろいろな経験をした学生が多くて、話を聞くのがすごく楽しかったです。
萱野
4ターム制の中で、第2タームは必修科目がないので、夏休みを合わせるとこの期間を利用していろいろなことができますね。
古賀
私もこの期間を利用してオランダに留学したほか、北海道の酪農体験にも参加しました。ほかにも、18歳選挙のイベントに力を入れました。選挙年齢が20歳以上から18歳以上に引き下がったわけですから、若い人たちにもっと政治に興味をもってもらおうと、地元の岡山で私が運営する学生団体の活動を行ったりして精力的に活動をしていました。
萱野
いい活動をしましたね。私も常々学生に伝えているのですが、今は女性の活躍を社会全体が期待している時代ですから、これまで以上に女性の可能性は広がっていくと思います。古賀さんのように積極性をもった女性にはどんどん社会参画してほしいので、総合政策学部もそんな高い志をもった女性たちを後押しできる学部にしていきたいです。